サンゴに優しい日焼け止めはどれ?メーカー6社に聞いてみた

サンゴ礁

夏本番になり、海水浴やシュノーケリングなどの海遊びを計画している方は多いはず。紫外線から肌を守るために日焼け止めを使用する場合もありますが、せっかくならサンゴに優しいものを選びたい。というわけでメーカー6社にどんな商品があるのか問い合わせてみました。

そもそも日焼け止めはサンゴに悪影響なのか

冒頭で“せっかくならサンゴに優しいものを選びたい”と書いた理由は、日焼け止めがサンゴや海洋生物に悪影響を及ぼす可能性があるからです。

沖縄・石垣島の海

地球温暖化や沿岸の開発などの影響でサンゴの白化現象が問題視されていますが、要因のひとつに日焼け止めに含まれる化学物質「オキシベンゾン」や「オクチノキサート」などの紫外線吸収剤も関係しているといわれています。

海外でも日本国内でもさまざまな研究がされており、日焼け止めの化学物質が「サンゴの白化に悪影響を与えている」と発表する研究結果もあれば、「リスクは少ない」とする結果もあるのです。

ハワイやパラオなどでは一部日焼け止めが禁止に

前述のとおり「リスクは少ない」とする声もありますが、ハワイやパラオ、カリブ海のボネール島など、人気リゾート地では、「オキシベンゾン」や「オクチノキサート」などの化学物質を含む日焼け止めが禁止されています。

日本では禁止されていないため、どんな日焼け止めでも使用可能です。

とはいえ、地域によっては独自のルールを設けている場合もあり、たとえば沖縄・石垣島の人気ビーチで西表石垣国立公園にも指定されている「米原海岸」では、“環境に優しい日焼け止めを使いましょう”というルールがあります。

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どのメーカーにもサンゴに優しい日焼け止めはあるのか?

化学物質を含む日焼け止めがサンゴに悪影響を与えている“可能性がある”なら、できるだけ使用するのは控えたいもの。そこで、メーカー6社(ヴェレダ・ジャパン、オルビス、コーセーコスメポート、花王、資生堂、ロート製薬)に「サンゴに優しい日焼け止めがあるのか」問い合わせてみました。結果は以下のとおり(五十音順に記載)。

ヴェレダ・ジャパン

ナチュラル・オーガニックコスメブランドの「ヴェレダ」が販売するすべてのUV商品は、紫外線吸収剤の「オキシベンゾン」と「オクチノキサート」を含む“石油由来成分”は一切含んでいないとのこと。

さらに、以下メッセージも送られてきました。

自然界にとって「異物」となりえる化粧品だからこそ、ヴェレダは可能な限り自然な原料を用い、各成分についても厳格な自然の基準を持つNATRUEに沿って認められた成分のみを使用しています。

※NATRUE(ネイトゥルー)とは、ナチュラル・オーガニック化粧品に関する厳格な基準の維持を目的とした国際的非営利団体です

全身用として体にも使用する場合は、着色のない「エーデルワイス UVプロテクトミルク」がおすすめとのこと。

オルビス

化粧品や栄養補助食品などを展開する「オルビス」のUV商品では、「オキシベンゾン」は使用していないものの、一部商品に「オクチノキサート」を使っているそうです。

2成分どちらも配合していない商品は、「サンスクリーンオンフェイス(モイスト・ライト)」と「サンスクリーンフリーエンス」の2種類。

また、日焼け止めがサンゴに与える影響について、返信メールのなかに、以下メッセージが記載されていました。

海洋中でのサンゴへの影響は、研究者の間で議論されており、弊社では、各国の規制動向や環境影響調査結果を注視して、適切に対応していく所存でございます。

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花王

「アタック」や「ハイター」「マジックリン」「リセッシュ」など、数多くの人気ブランドを手掛ける花王には、日焼け止め商品が数多くラインアップされています。

その中でも、紫外線吸収剤を配合していない商品は、「ビオレ UV キッズピュアミルク」「キュレル 潤浸保湿 ベースクリーム」「キュレル 潤浸保湿 ベースミルク」「キュレル 潤浸保湿 UVローション」「キュレル 潤浸保湿 UVエッセンス」の5種類になるそうです。

また、以下メッセージも記載されていました。

日やけ止めとサンゴ礁の影響は確認されておりませんので、ご質問の中の、珊瑚にやさしい日やけ止め製品としては、一概にご案内ができず恐縮でございます。

なお、花王のウェブサイトには、紫外線級剤に関して以下のような記載もあります。

特定の紫外線吸収剤が海洋中のサンゴに対して白化を招くなどの懸念がもたれており、米国ハワイ州など一部のサンゴ礁のある地域において、これらの紫外線吸収剤を含む日やけ止めを禁止する法規制が導入されました。一方で、サンゴの成育阻害や白化の主な要因は、気候変動の影響による海水温の上昇や海洋の酸性化などと考えられています。紫外線吸収剤のサンゴ礁への影響について研究者の間で議論と研究が継続されています。

https://www.kao.com/jp/innovation/safety-quality/ingredients-contained/uv-absorbents-policy/
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コーセーコスメポート

コーセーコスメポートの日焼け止めブランドである「サンカット」シリーズについては、「オキシベンゾン」は含まれていないものの、紫外線吸収剤として「オクチノキサート(成分名:メトキシケイヒ酸エチルヘキシル)」を配合した商品が多数あるとのこと。

「サンカット」シリーズの商品の中で紫外線級剤フリーの商品は、「プロディフェンス ノンケミカルUV ミルク」と「プロディフェンス ライトアップUVスティック」があるそうです。

資生堂

日焼け止めブランドの代表格といっても過言ではない「ANESSA」を製造する資生堂では、”オーシャンフレンドリー処方”を採用した商品が展開されています。

オーシャンフレンドリー処方とは、サンゴへの影響に配慮し、海に流れ出にくい商品のこと。また、「オキシベンゾン」や「オクチノキサート(メトキシケイヒ酸エチルヘキシル)」無配合を実現した商品もあります。さらに、木質資源を使用した紙ケースやCO₂排出量の削減、リサイクル性への考慮など、地球環境を意識した商品となっているようです。

ちなみに資生堂は、造礁サンゴ類やサンゴ礁生物にまつわる研究テーマに取り組んでいる琉球大学理学部の中村崇准教授と共同研究を実施しています。

参考までにANESSAのノンケミカル商品を記載します。

ロート製薬

「メラノCC」や「肌ラボ」「オキシー」など、さまざまなスキンケアブランドを手掛けるロート製薬にも日焼け止めは多数あります。

数ある商品の中でも環境に配慮した商品は、「オクチノキサート(メトキシケイヒ酸エチルヘキシル)」「オキシベンゾン」フリーの「スキンアクア ネクスタ シールドセラムUVエッセンス」とのこと。

自分の考え方に合った商品で海を楽しもう

問い合わせをしたすべてのメーカーには、何かしら環境に配慮した商品がラインアップされていました。もし、海に入る際に「サンゴや環境に配慮した日焼け止めを使用したい」ということであれば、前述のような商品を選ぶと安心だと思います。

ちなみにそのほかの日焼け止めを探すなら、「リーフセーフ 日焼け止め」といったキーワードで検索すると、さまざまな商品がヒットするのでおすすめです。日焼け止めはとにかく種類が多いため、自分の考え方に合った商品を選んで海を楽しみましょう。

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※掲載している情報は記事制作時のもので、現在の情報とは異なる場合があります

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この記事を書いた人
奈古善晴

約10年の自動車業界経験を持ち、中古自動車査定士の資格を取得。アートディレクターとして、ウェブサイト制作や広告運用に従事。編集プロダクションへの転職後、編集者・ライターとして「editeur」「FNNプライムオンライン」「SUUMOジャーナル」「R25」など多岐にわたるメディアに寄稿。コンビニ・ファストフード・メーカー関連の新商品レビューを年間1000本以上執筆。現在はフリーランスとして活躍中。

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