知らずに轢いてしまった…石垣島でレンタカー観光が招く悲劇とは?

枝にとまるカンムリワシ

GWや夏の旅行先として沖縄県・石垣島を考えている人は多いはず。ここでは、レンタカーで観光する際に、絶対に気をつけなければならないポイントを紹介します。

特別天然記念物を殺してしまうことがある

自然豊かな八重山諸島に属する石垣島や西表島には、絶滅危惧種や国の特別天然記念物に指定されている希少な野生生物が多く生息しています。山や茂みの中だけでなく、道路にも現れることが多く、石垣島ではロードキル(車などが原因で起こる野生動物の死亡事故)が問題となっているのです。

電柱にとまるカンムリワシ
車道の電柱にとまるカンムリワシ

特に、絶滅危惧IA類(※)に指定され、200羽程度しか生息していない特別天然記念物のカンムリワシの被害が多く、今年はすでに3羽の死亡報告があり、すべて交通事故が原因と考えられています。

(※)ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの

殺さないために法定速度は必ず守る

「知らずに特別天然記念物を轢いてしまった……」。そんな悲劇を防ぐために、石垣島や西表島でレンタカーを運転する際は、法定速度を必ず守りましょう。

カンムリワシなどの生き物は、突然路肩や茂みから飛び出してくることが多く、法定速度を超えた状態では衝突してしまう危険性が高まります。「法定速度+10km程度なら大丈夫」と考える人もいると思いますが、それでは危険です。

枝にとまるカンムリワシ
車道にかかる枝にとまったカンムリワシ

また、車に轢かれたヘビやカエルなどの死骸を求めて道路に降り立つことも多いです。「車で近づけば飛んで逃げるだろう」と思うかもしれませんが、カンムリワシは動きが穏やかなので、逃げられずに轢かれる事故も発生しています。

法定速度を守っていても衝突することがあるため、もしカンムリワシを見かけたらスピードを落とし、接触しないよう十分に注意してください。

▼側溝から飛び出したカンムリワシがスクーターに接触しそうになる動画▼

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看板があるエリアは特に注意

石垣島でレンタカーを運転していると、「カンムリワシ事故多発」の看板をよく目にします。これらの看板が立てられているエリアでは、カンムリワシのロードキルが多発しているため、特に注意深く運転してください。

どんな生き物でも轢かないように注意

カンムリワシは道路上の死骸を求めて道路付近に現れることが多いので、ヘビやカエル、カニなど、どんな生き物でも轢かないように注意しましょう。

煽られても焦らず道を譲る

残念ながら、法定速度を守って運転していると後続車から煽られることもあります。そんなときは無理にスピードを上げず、見通しの良い場所でハザードを点けて路肩に停車し、後続車に道を譲りましょう。

レンタカーの修理費用が発生する可能性もある

生き物と接触すると、レンタカーに傷がつく場合もあります。レンタカー会社や契約内容によって異なりますが、車両の修理費用やNOC(ノンオペレーションチャージ)と呼ばれる修理期間中の休業補償などが発生し、高額な支払いをしなければならないこともあるため注意が必要です。

カンムリワシを轢いてしまったらすぐ連絡

万が一カンムリワシを轢いてしまった場合、絶対にそのまま立ち去らず、安全な場所に車を停め、すぐに環境省石垣自然保護官事務所(西表島の場合は西表野生生物保護センター)へ連絡し、保護・救護を依頼しましょう。弱っているカンムリワシや死骸を見つけた場合も連絡してください。

  • 石垣島の場合
    • 環境省石垣自然保護官事務所: 0980-82-4768(24H)
  • 西表島の場合
    • 西表野生生物保護センター: 0980-85-5581(24H)

最後に

石垣島旅行を素晴らしい思い出にするためにも、レンタカーの安全運転を心がけてみませんか?
(文・写真:奈古善晴/オルメカ)

※掲載している情報は記事制作時のもので、現在の情報とは異なる場合があります

八重山諸島
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この記事を書いた人
奈古善晴

約10年の自動車業界経験を持ち、中古自動車査定士の資格を取得。アートディレクターとして、ウェブサイト制作や広告運用に従事。編集プロダクションへの転職後、編集者・ライターとして「editeur」「FNNプライムオンライン」「SUUMOジャーナル」「R25」など多岐にわたるメディアに寄稿。コンビニ・ファストフード・メーカー関連の新商品レビューを年間1000本以上執筆。現在はフリーランスとして活躍中。

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